2025.12.06
国内最大級の音楽フェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL ’25」。
RYUは、唯一深夜まで稼働するステージ「Red Marquee」の照明を担当。機材の設営から調整、本番オペレート、撤去までを一貫して担い、昼夜を問わずおこなわれるライブを照明面から支えました。
「僕らが担当しているステージは、夜中もクラブのように動いていて、朝まで明かりが消えない。だからこそ、チームを交代制にして、みんなで支え合うようにしています」と語るのは高田。
RYUが長年手がけてきたこの現場は、若手スタッフにとっても実践の場であり、学びのフィールドとなっています。「自分が若い頃に挑戦していたこの現場を、今は次の世代に託しています。技術を磨くだけじゃなく、現場をまとめる力や、判断する力を身につけてほしいと思っています。」
今回、プロジェクトマネージャーを務めた杉本は、その“バトン”を受け取る立場として現場を率いています。
「若手のスタッフにもどんどん任せて、経験を積ませるようにしています。準備期間が長い分、未知のことにも挑戦しやすい。スケジュールを立てて、自分で考えて動く力を育てることをこの現場では大事にしています。」


フジロックの現場は約2か月前から始動。出演アーティストごとのテクニカルライダー(技術要件書)を確認し、ステージ全体の照明構成を設計。海外アーティストが多いため、直前までやり取りが続くことも珍しくありません。
「資料が届くのがギリギリなことも多いんです。結局、現場で“どうにかするしかない”ってなる。でも、その中で判断して、形にしていく力こそがRYUの強みだと思います」と杉本は笑います。
限られた時間の中で最善を導き出す、その柔軟さがRYUの現場を支えています。ステージ構成の設計にも、現場を意識した工夫が。
「Red Marqueeは多くの照明デザイナーやアーティストが入れ替わるステージなので、誰が来ても使いやすいように、シンプルでわかりやすい配置にしています。ライブって生きものだから、プログラムで固めすぎず、その場の空気に合わせて光を変えていくことができる照明を準備しています。」
即興性と自由度を保った照明の設計。その両方を実現しているのはRYUの経験と技術によるものです。
©Masanori Naruse自然の中で行われるフェスならではの苦労も。
「雨が降ると、屋根を伝って水が中に流れ込んでくる。今年もテントの中に川ができてました(笑)。機材を守る工夫も必要なんです」と杉本。
過酷な環境の中でも、ステージを止めないために積み重ねてきた判断と経験が、RYUの信頼を支えています。
「自然の中で音が鳴ってて、光が混ざる。その状況を含めて自然と一体になる時間が持てるのは特別です。知らない音楽や人に出会えるのも、この仕事の面白さですね」と杉本は話します。
RYUの照明チームは、光でステージを支えるだけでなく、音楽と観客をつなぐ“もうひとつの演者”として、次の世代へとその技術と感性を受け継いでいます。
