北海道・石狩湾新港で開催される「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2025 in EZO」。

RYUは、会場内「RED STAR Field」におけるステージ照明を担当。機材の手配から積載、設営・調整、本番オペレート、撤去・返送までを一貫しておこない、アーティストや乗り込みスタッフが快適にパフォーマンスできる環境を整えています。
「僕らの仕事は、バンドやアーティストが最高のステージをつくるための“環境づくり”なんです。照明機材の管理や設置、オペレートはもちろん、乗り込みのスタッフさんたちが気持ちよく仕事できるようサポートすることも大事な役割です」と高田は話します。
長年にわたって受け継がれてきたこの現場は、若手スタッフが実践を通じて学び、挑戦できるフィールドでもあります。「僕が若いころに挑戦の場だった場所を、今は次の世代に任せています。小林をはじめ若いスタッフたちが、それぞれのチームを率いるようになっていくことが嬉しいですね。」
チーフを務めた小林は、照明設計の工夫をこう語ります。
「どんなバンドが来てもやりやすいように、図面と機材の組み方を考えています。ライブでは演者がちゃんと見えることが一番大事。だから“人を照らす照明”を毎年調整しています。」

作業中の小林さん

RED STAR Fieldの照明は、ムービングライトに頼らず“固定照明”を中心に構成。演出の安定性と再現性を重視しつつ、アーティストごとの多様な演出に柔軟に対応できる設計にしています。
さらに小林は、ステージ名に込められた“RED STAR”をモチーフに、遊び心を仕込みへ反映しています。
「ステージを上から見ると、光が星の形に見えるようにしているんです。完全に自己満足なんですけど（笑）。でも、誰が使っても扱いやすくて、ちょっと自分の個性も出せる。そういうバランスを大事にしています。」
長年引き継がれてきた照明の思想に、さりげないデザイン性を加えることで、現場に新しい彩りを添えています。

©RISING SUN ROCK FESTIVAL. photo by n-foto RSR team.

現場では、高さ7段のイントレ（足場）に登って機材を調整する場面もあります。
「RYUの中でもあそこまで高い現場は少ないので、若手にとってはいい経験。安全な登り方や立ち方から教えています。体を使いながら光を設計することが、この仕事の本質でもあります」と小林。
照明技術だけでなく、チームとしての現場力を磨くことも重視。北海道の大自然の中でおこなうこのフェスには、屋外特有の工夫が欠かせません。
「日中は太陽が強すぎて光が負けちゃうんです。だから色で雰囲気を出したり、面で光る機材を選んだり。夕方になると西日が差し込んで、天然の片明かりになる。その時間帯がいちばん好きですね。」
自然光と人工照明が混ざり合うなかで、音楽と光がひとつになる瞬間。
その情景を支えるのも、RYUの照明チームの仕事。本番後には、スタッフ全員で過ごす時間も。
「ライジングは本番が終わったあと、1日オフがあるんです。みんなで夜ご飯を食べたり、プールに入ったり。仕事も遊びも全力でやれる現場ですね」と小林は笑います。
自然とともに働き、仲間と笑い合う、そんな空気がこの現場の魅力を形づくっています。
RYUの照明チームは、確かな技術と柔軟な対応力、そして現場で生まれる信頼を糧に、ライブの瞬間を照らし続けています。