舞台をとおして紡ぐ、幸せな関係

RYU_冨田章子

2025.01.07

テレビ制作の現場から舞台照明の世界に転身し、京都事務所から東京事務所、そして現在は福井を拠点に全国の現場で活躍している冨田章子。多様な現場での経験を持つ彼女から、照明の仕事や働き方について聞いた。

−照明スタッフを目指すきっかけを教えてください。

大学を出てから、しばらくテレビの制作のお手伝いみたいな仕事をしていました。ロケや中継の現場に連れて行ってもらう機会が多くて、すごく目新しくて楽しかったんです。その中で、京都で野外コンサートの中継をする機会があって、その時に初めて「照明」という仕事を認識しました。私はテレビの仕事でも終わりと始まりがはっきりしていて、本番一発勝負的な感覚のある中継の方が好きだったんです。あと、ぼんやりと手に技術がある仕事というのにも憧れがあって、照明を目指すようになりました。

−RYUではたらくきっかけはなんでしたか?

当時、20代後半で未経験の女子ということもあってか、いろんな会社からやんわりとお断りされて。唯一、RYUが「小さい会社で、採用は無理だけど、照明ってどんな世界か教えてあげるよ」って言ってくれたんです。京都の事務所に行って先代の社長から照明の話を聞いていたら、夕方に現場からいろんな人が帰ってきて、すごい賑やかになって。動いている感のある会社だなと思った記憶があります。その出会いをきっかけに、アルバイトで現場に行くようになり、社員になっていました。

−RYUではどんな仕事をしていますか?

自分で照明デザインをするダンスやバレエ、音楽、イベントなどの現場があります。クライアントとのやり取りや照明デザインの検討、機材の手配などをして、実は8-9割がデスクワーク。現場で過ごす時間は1割くらいです。

−RYUでは1つの案件がどのように進んでいくか教えてください。

新規案件だと、クライアントとのご挨拶や打ち合わせから始めて、予算やホールの条件に合わせて照明デザインを作成し、現場に臨みます。
話し合いやリハーサルを通じてクライアントが持っている世界観と自分が感じる世界観を擦り合わせていきます。どこかで一度立ち止まり、俯瞰してデザインが「一人よがり」になっていないか、注意するようにしています。舞台という一つの目標に向かって、関係性をつくっていくことが大切な仕事です。

−RYUでの仕事の魅力を教えてください。

一つのチームとして出演者や舞台監督、美術、音響などさまざまなセクションの人と舞台を作り上げることに楽しさを感じています。公演の最後に出演者がお客さんから拍手をもらっている音はいつ聞いても感動します。本当にいいサウンドで、ほっとしながら、この仕事をやっていて良かったなと思う瞬間です。
私は京都事務所から東京事務所に移り、現在は結婚を機に生活の拠点を福井県に移して働いています。これだけ遠隔地で働くというのはRYUでも初めてだったんですが、相談した際に上司が「お互いにいい着地点を探しましょう」と言ってくれて、今はこのような形になっています。RYUは聞く耳をもっている会社だと思うんですよね。了承されるかは置いておくとしても。一緒に話をしながらベターな選択を考えていけると思います。いずれ環境が変わるときがくると思いますが、自分もちょっと幸せな、周りもちょっと幸せな選択ができるといいですね。

−RYUでの仕事の心構えを教えてください。

現場あるあるなんですが、仕事を始めるとAさんとBさんの言っていることが違う、と感じることが多々あると思います。でもそれは誰かが間違っているということではなくて、いろんなやり方があるということなんです。それをすべてスポンジのように吸収するとしんどくなってしまう。だから、若くても、仕事を始めて間もなくても、間違ってる可能性を自覚しながら、自分の判断基準を持つことが大事じゃないかなと思っています。いろんな人のいいところから学びながらその判断基準をブラッシュアップしていくことが、自分の身を助けて、仕事を続けていくコツじゃないでしょうか。

 

会社も、家族も、自分も。
少しずつ幸せになれるような仕事の仕方を考えること。
あかりをデザインするだけじゃなくて、生き方もデザインしていくこと。
RYUで学べることの幅は深くて、広い。

冨田さんの仕事道具。右上の普段あまり見ないものは金具が固くて回りにくいときに使う工具とのこと。

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